■ ID | 111 |
■ 種類 | 論文 |
■ タイトル | 水生植物を植栽した溜池の水質浄化に果たすユスリカ類の役割 |
■ 著者 | 林紀男
千葉県立中央博物館 桑原享史 筑波大学 稲森隆平 筑波大学 稲森悠平 (独)国立環境研究所 須藤隆一 埼玉県環境科学国際センター |
■ 出版元 | 四万十・流域圏学会 |
■ 出版年 | 2006 |
■ 誌名・巻・号・年 | 四万十・流域圏学会誌、Vol.5、No.2、35-42、2006 |
■ 抄録・要旨 | 水生植物植栽浄化法による実証試験において、窒素・リン除去の機構と水生生物の役割について検証した。実験池に沈水植物、浮葉植物、抽水植物を移植して農業集落排水施設の処理水を導入し、水質浄化特性およぴ生物相を5年間継続調査した。本法における植栽植物は、浮遊生物、付着生物のみならず、水生昆虫、両生類、爬虫類、鳥類など多様な生物の生息空問を確保し、場の生物多様性を高める上で大きな役割を果たすことを明らかにすることができた。これら水生植物の植栽により創出されたニッチに誘因・定着する水生動物は、それぞれの生活史を通じて窒素・リンの系外排除に貢献しており、個体としての除去量は些少ながら生物群としては窒素・リン除去への貢献度が過小評価されてきたと考えられる。そこで本報では、同法におけるユスリカ類の貢献度の評価を試みた。本実験池における年間の除去量は窒素22,600g、リン1,800gと評価された。この内、物理的な沈殿などにより池底質に留まる比率が窒素28%、リン45%、植物に吸収され植物体として池内に留まる比率がそれぞれ4%、15%、池の維持管理として植物体および藻体として人為的に系外排除される比率がそれぞれ16%、27%等と見積もられた。また、実験池に高密度で出現する昆虫のユスリカ類に着目し、その羽化にともなう窒素・リン系外排除に果たす貢献度を試算したところ、出現したユスリカ類3種(ウスイロユスリカ(Chironomus kiiensis)、アカムシユスリカ(Propsiloceusakamusi)、オオユスリカ(Chironomus plumosus)合わせて窒素1.6%、リン2.3%の比率を担っている可能性が示唆された。 |
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